2011年6月29日

県内市町村、核燃マネー依存根強く

核燃マネー漬の青森県…情けない!

東奥日報「県内市町村、核燃マネー依存根強く」全文転載


原子力施設が集中立地する本県への、電気事業連合会(電事連)をはじめとした電力業界の財政支援は、国の交付金同様、本県の地域振興に欠かせないものとなっている。自主財源に乏しい県内市町村にとって、電力業界の支援は大きな魅力。財政支援は、各市町村からの要請に基づくものも多く、核燃マネーへの依存傾向は根強い。

「緊縮財政が続く三村県政にとって、数少ないバラマキ施策の一つであることは否定できない」。自民党県連幹部がこう解説するのは、津軽や県南の25市町村に対する電事連の「原子燃料サイクル事業推進特別対策事業」(特対事業)だ。

原子力関連施設が立地し、電源3法交付金の恩恵を享受する六ケ所をはじめとした上北、下北を中心とする15市町村と、交付金の適用外である津軽や県南などの25市町村との間では以前から経済格差が叫ばれてきた。津軽地域のある首長は「核燃サイクルは県全体の理解があって初めて進むもの。なぜこうも違うのか」と不満を隠さない。

1994年度から始まった特対事業は、25市町村の不満軽減の手段との見方もされている。助成金はこれまで、「立佞武多(たちねぷた)制作、修復事業」(五所川原市)、「こどもの国遊技施設整備事業」(八戸市)「ロマントピア施設改修事業」(弘前市)をはじめ、道路補修や農漁業施設整備など、多岐にわたって活用されてきた。

電力業界の財政支援は特対事業のような「表向き」のものばかりではない。電力会社からは、施設立地が立地する自治体や周辺に対して多額の寄付金が寄せられ、庁舎、病院整備、医療機器導入費などに姿を変えた。寄付金は匿名のものが多く、受け取った自治体も相手を明らかにしないことは珍しくない。

寄付金は、主に自治体からの要請に基づくものが多い。また、特対事業についても当初、5年の事業期間が、自治体の要請で3度にわたって延期された経緯もある。地域振興を旗印に、電力会社と自治体との蜜月ぶりは長い期間続けられてきた。

一方で、ある電力幹部は「エネルギー計画推進のためには地元自治体の協力は欠かせないが、何かあると電事連、電事連だ」とぼやく。県幹部の1人は「(県内に施設を立地、計画する)東北、東京両電力の負担は仕方ないが、他の電力会社からすれば『何でここまでするのか』との不満もあるだろう」と解説する。

核燃マネーを通じた電力業界と地方自治体との関係に、「原発になお地域の未来を託せるか」の著者で、福島大学の清水修二副学長は、交付金のもととなる電源開発促進税は本来、寄付金のような不明朗な手段を使って電源立地が進められることを防止するのが目的-と説明。

その上で「地方自治体が『前近代的』な慣習に回帰している。電源3法交付金が地域の発展に満足に寄与できず、電源3法システムの明らかな限界を物語っている」との持論を語る。さらに、電力業界からの匿名の寄付について「もらう方も差し出す方も『相手のある話だから』といって口をつぐむ。地方自治、株主民主主義の観点からいっても問題だ」と指摘した。